恋唄100題
001:きみを愛しいと、誰が言うのだろう
八咫との一件が終わり、九艘と一謡とのわだかまりも落ち着きを見せ始めた。
後処理が面倒。本当にこう言う時は式部家の人間であった事を後悔しない時は無い。・・・もう、憎むのも疲れたし。
なんとか事務的処理を終えたら、もう、十一月になっていた。が、月なんて考えてられない。
やっと出来た休みなんだからと、吉乃はきらに一緒に海へ行こうと誘うため、尚和町駅前で待ち伏せていた。
今まで、普段は何の意味も持たないと言っていた影見の力も、今では、同じ所にじっとしていられない性格のきらを見つける事には役立つからと、重宝している。
まぁ、付き合い始めたのだからそんなストーカーチックな事をしなくても良いようになりたいのだが・・・アクティブな彼女に言っても仕方が無いだろう。
「お嬢ぉーちゃん」
「あ、式部さん。」
きらは吉乃に声をかけられると無邪気に笑みを浮かべ駆けよって行った。
まったく、無防備な笑顔ほど罪深いモノはないってね。
「吉乃って言ってってば。」
「あっ・・・」
「ほら、」
「よ、吉乃・・・さん。」
可愛い唇に自分の人差し指でつつくと、きらは真っ赤になりながらも俺を見上げてくる。
まだ恥ずかしくってっと照れる様子が可愛くて仕方が無い。
でも、彼女が名前を呼んでくれると、女の名前みたいで嫌いだった名前も好きだと思える。
「・・・」
「吉乃さん?」
「・・・」
好きだの愛しているだのは、今までに数えきれないぐらい言った。
来るもの拒まず去る者追わず・・・
・・・いや、追う事が出来ないと思い込んでいた。
この町から出られないのと同じように。
「な、なんですか?」
きらはにっこりと笑いつつも、いつもおしゃべりなのに何も言わない吉乃にドギマギし。
吉乃は、そんな彼女をベンチに座ったままの自分に引き寄せた。
「なんだと思う?」
そんな俺が・・・
いい加減な奴がって言われていた俺がだよ。
お嬢ちゃん、分かってる?
「うぅー」
急に抱き寄せられたきらは恥ずかしさのあまり、吉乃の背中をパシパシと叩く。
そんな些細なことでさえ想いは募り、吉乃はきらの耳元で囁く。
「愛してるよ。きら」
俺以上に誰が君を愛おしいと言うのだろう。
時に口を噤むのも大切だ。
「吉乃さんが何もしゃべらない時の方が危険だと知りました。」
≪式部吉乃×柏木きら≫
んー水の旋律キャラは本当に難しいです。
特に吉乃はひょうひょうとしてて、
でも、ナイーブで・・・もう。難しいわ
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