恋唄100題
003:生まれたばかりの想いと
ずっと水断刀継承しろと言われて育った。
しばらく使い手が出なかったからこそ期待されていた・・・鳳凰の太刀に選ばれる事を。
継承の儀で自分ではなく、弟が選ばれた事に憤りを覚えた。
その、自分の生きる意味を無くしても・・・ただ、自身を守るだけに常を取った。
「良かったじゃないか、誰も鳳凰の太刀に選ばれなくて両親を落胆させるよりも、弟が選らばれて一族を歓喜させる方が」
そう、言い続けていた。
落ち込んでいない、弟が選ばれて嬉しいと・・・兄でいる事を選んだんだ。
「りょ・・・涼さん???」
「はい?」
自宅の縁側で涼んでいる所に妻であるきらが半纏を持って自身の隣に膝をついた。
「半纏ですか・・・」
「秋と言っても、もう肌寒いんですから上着くらい来てください。」
「ふふっ・・・」
初秋の夕暮れ、昼間はまだ暑いぐらいだが、日が暮れると一変して寒い。
特に一謡の里は山奥だから直の事だ。
結婚するまではこんな気遣いされなかったな・・・
などと考えてしまうのはやっぱりのろけ・・・なのですかね。
「何ですか・・・」
「見た事のない半纏だと思いましてね。」
「うっ・・・」
内緒で半纏を縫っていたなどと言えない。言ってたまるものか!!と、きらは明後日の方向を向く。
「指・・・絆創膏だらけですね。」
「!!」
「無理せず買えば良いモノを・・・でも、嬉しいです、とても。」
と、涼はきらのそんな様子を見ながら彼女の手を取るとそっと口づけた。
「涼さん意地悪です。」
「はい、私は意地悪ですよ。」
何を言ってもダメなのだ。涼はきらより家事や剣道だけならず、すべて上手。
「もう、知りません。」
今までだったら彼女は真っ赤になるだけだったが、最近では真っ赤になりながらも何か対抗する。
今も、自分がしたように指に口づけし返して対抗をした。
拗ねたように真っ赤な顔のまま台所に消える彼女を見ながら、涼は自らの手を見る。
「ダメですね・・・。」
こんなにも愛おしい。
一族や家の事なんてどうでも良いと思えるくらい、この生まれたばかりの想いが愛おしい。
今でこそ、本当に思う。
鳳凰の太刀に選ばれるのには理由があるのだと。選ばれないのにも理由があるのだと。
あの太刀には意志があるのだから・・・。
ただ・・・
「兄さん、兄さんってば」
モノ思いに耽り過ぎたのか、弟の圭が呼んでいるのにも気が付かなかった。
先ほどきらが膝をついていた場所で仁王立ちになりつつ呼んでいる。
「おや、来ていたのですか圭。」
「来ていたのですかじゃないですよ。呼びだしたのは兄さんと義姉さんじゃないですか」
御飯だからと義姉さんが呼んでます。と、圭は手を差し出す。
自分で立てると言うのに、男でしかも兄にこんな気遣いをする弟が可愛い。
兄弟共々二十歳を越えてからの方が兄弟らしいと言うのもおかしな話ですが、きらや母曰く最近特に仲が良いと言われる。
まぁ、私に対して圭が気さくに話しかけてくれるのは嬉しいし、私とてからかうのは面白い。
「っで、なんなんですか?実家では母さんを始め皆が浮足立っていましたが・・・」
「あ、きらが妊娠してね。それを報告しようと。」
「あぁそうなんですか・・・早くしないと料理が冷めちゃ・・・えぇっぇ」
何が食べたい?何でも良いよ。と言うやり取りの様に軽く言う涼につられて軽く返事をする圭。
「母さん達には昨日伝えたからね・・・帰りにもう一度実家に寄ってあげなさい。母さん達が圭の反応を楽しみにしているから。」
「なんで私の反応なんですか・・・普通、旦那の兄さんの反応を楽しむべきでしょう。」
「ふふふ・・・圭も早く結婚出来るといいですねぇ」
「・・・っ!!」
その一言で圭は全て分かった。
自分の方が彼女が出来るのが早かったし、付き合いも長い・・・
なのに、兄の方がさっさと彼女を作り、結婚し・・・そして今度は子どもだ・・・。
自分もすぐさま結婚を申し出たい。が、
未だに九艘と一謡の間を考えると、もう少し慎重になるべきだし。
彼女である陽菜もそう答える。
「兄さんは意外に意地悪性格だったんですね。」
「ふふっ」
「なっなんですか其の笑みは!!」
意外な所で妻と弟の似ている所を見つけてしまい、自然と笑みが出てしまった。
ただ、少しぐらい圭にも自分が羨ましいと言わせたい。
なんて、我儘を聞いてくれてもいいでしょう?
「なんでもないですよ。さぁ今日の御飯はなんでしょうか・・・」
「兄さん!!」
この毎日のように生まれいずる感情をなんと呼ぼうか・・・
≪明月涼×柏木きら≫
んー・・・涼さんのイメージ違うよね
違うって分かってても、私の中の涼さんはこんなです。
敬語キャラは意地悪だって言う絶対的イメージのせいです、はい。
強さ的には「涼>圭>陽菜>きら」で涼最強吉良最弱デス←
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