恋唄100題
005:恋ってどうにもならない感情なのね
「好春のばっかぁぁぁぁぁ《
少女がそう叫んだのは1時間前。
場所は柏木ホーム前。
少女は叫び終わる前に走り始める。
「ちょ・・・ちぃ姉―《
少年は戸惑った。
少女に怒られる様な事を口にした記憶は無い。
反射的に少年は少女を追う。
「・・・はやい・・・。《
意外にも追いかける少年よりも逃げる少女の方が早かった。
「解説どうもありがとう。《
茶吞書房の喫茶スペースで・・・は、なく。
浪漫珈琲店のカウンターで柏木きらと手塚京輔は店長お見立て珈琲を飲んでいた。
「ダメだよ、ちぃちゃん・・・《
「「ちぃちゃんの方が年上なんだから《でしょ。それ以前に私は女の子だから。《
たまたま、好春ときらの喧嘩を目の当たりにした手塚だったが・・・その後、商店街で好春より先にきらを見かけたので、お茶に誘ったのだ。
「あはは・・・そうだね。でも、久しぶりだね、ちぃちゃんが本気で怒るの。《
因みに、本当は二人よりも好春が十数歳年上なのだが、それを知っていても知らなくても結局の所、好春は年下扱いなのだ。
「うんーそうかなぁ・・・《
「喧嘩の原因は?《
「・・・《
「あぁ、馬に蹴られちゃうかな・・・《
「もう。《
当たり前の様に手塚は喧嘩の原因をきらに訊ねた。
もちろん今までだったらそれは弟妹たちの喧嘩を宥める為に必要で、手塚も癖の様に訊いていた事だが、今ではこの二人に関しては適さない。
「・・・単に・・・単にね。その・・・あの・・・吊前。《
「そう言えば、この間「付き合い始めたんだ!《みたいな事を言ってたのに・・・《
きらと好春は八咫の一件からしばらくして、改めて付き合い始めた事を手塚に報告した。
それから結構な月日がたつが、相変わらず二人の呼び方は変わらないのだ。
「・・・笑いたければ、笑っていいんだよ・・・《
「笑わないよ・・・でも、素直に言えば良いのに《
「それが出来れば苦労はしないよぉ・・・こうね。なんて言うの憤り?《
「爆発しちゃったんだ。《
「コントロールなんて出来ないんだもん・・・。《
痴話喧嘩だと言う事はきらも百も承知だった。
が、体と心は別物と言う様に、理性と感情もまた別モノで・・・
バカバカしい事で怒ったと分かりつつも怒りを紊められないのだ。
「でも、このままじゃいけないのは分かってるよね?《
「あっ・・・《
ふと店の扉を見ると、そこには手塚から連絡を受けた陽菜が好春を連れて立っていた。
「痴話喧嘩なら、君達の問題だからね。僕は相談には乗るけど仲直りのお手伝いはしません。《
「うっ・・・《
「頑張りなさい。《
手塚の言う仲直りのお手伝いとは所謂兄弟喧嘩両成敗と言うモノだからだ。
手塚はきらを宥めるように頭をポンポンと軽く叩き、その場にコーヒー代を多い目に置くと店を出た。
「・・・ごめん。《
手塚と入れ替わりに店に入ってきた好春が席に着く前にきらは謝った。
「んー何で怒ったのか、何で謝るのか・・・何も分からないんだけど・・・《
「それは・・・その・・・《
きらの隣に立った好春が、顔を逸らすきらの頬を両手で包みこむと、視線を合わせた。
「ね。教えてよ。・・・きら《
「・・・ずるいよ・・・。《
こんな時に吊前を呼ばれたら、もう、何も言えない。
≪柏木好春×柏木きら≫
この二人・・・苦手です←
これしか言っていない気がしますが・・・
微妙な多重人格っぽい好春をどう扱うか大変でした・・・
あ、因みに。
喫茶店を出た手塚と陽菜のやり取りは
「ねぇ手塚さん。如何して私に連絡を入れたんですか?《
「ん?まぁー僕の弟は、ヤキモチ焼き屋さんだからね。《
余り面識のない陽菜に連絡を入れるよりは、直接好春に連絡を入れた方が早いに決まっている。
しかし、恋人と喧嘩をしたって言うのに、一緒に居るのが別の男だと言うのは気分の良いモノではない。
「それよりも、陽菜ちゃんもさ、もうそろそろ吊前で呼んでくれても良いんじゃないかな?《
「・・・ど、努力します・・・。《
的な会話を交わしてくれれば萌ます←
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