恋唄100題

007:やわらかい風を浴びながら

「またこんな所で・・・《

 春の日差しうららかに縁側で昼寝をする二人を見てきらは微笑んだ。

「仕方が無いか・・・気持ちいいモノね。《

 爽やかな風をがさらに気持ちよさを感じる。
 この姿を見る誰もが皆、昔の彼が遮那としてきらと陽菜を襲ってきた八咫の当主だったとは思わない。
 一般家庭を知らないきらでも、絵に描いたような家族だと言える。
 そんな幸せを抱きながら、きらは乾いた洗濯物を二人の枕もとに置き、畳み始める。
 他愛のない日常、他愛のない日々・・・だけれどそれがとても愛おしい。

「樹・・・《

 その幸せを噛みしめていると、自然と手がとまる。
 可愛い我が子を見つめ、優しく愛おしい人の吊を呼び、二人の柔らかな髪を梳く。
 ただそれだけで心は満たされる。

「んっ・・・《
「あ、起しちゃった《
「うん、あぁ寝てた??《
「クスッ、二人そっくりな顔で寝ていましたよ。《

 我が子をあやしながら何時の間にか寝たのだと、だんだんはっきりしていく意識で認識していく。
 あぁ現実だ。これが現実なのだと一番思える瞬間。

「まだ寝ぼけてるの?《
「いや・・・夢から覚めた瞬間が好きだなと思ってな。《
「へ?普通、夢は自分の願望って言うか理想で、覚めたら残念に思うものじゃないの?《
「上思議なものだ、夢から覚めてお前とこの子が目の前に居るのを確認した時が一番現実だと思える瞬間なんだ。《
「??《
「何時か覚めてしまう幸せよりも、今が一番だ。《

 きらが樹の言うを理解しきる前に、樹は寝がえりをうつと、きらの膝に頭を置いた。

「樹!?《
「もう少し、寝る。《

 全く、洗濯物がたためないじゃない。そう言いながらも、きらは微笑みながら樹の頬を撫でた。

「可愛い事をする・・・《
「んっ!!《

 きらが気を許した瞬間、樹は体を起こして彼女の唇を奪った。

「ちょ、樹!!んっ、はっ・・・こ、こっ・・・縁・・・ん《

 たとえ、田舎の日曜午後と言っても人通りはあるし、庭が大きくても家の中が見えないわけではない。
 きらはその恥ずかしさで樹を拒む。

「きら、愛している。《
「・・・なら、仕方ないわね。《

 瞳を見つめられ、甘くそう囁かれるともう、何も言えない。
 私が欲しかった温もりは彼が与えてくれる、彼が欲しがっていた温もりは私が与えてあげられる。
 お互いしか補えないのだ。

「樹。《
「き・・・《

 再び口づけ様とした瞬間、「うぎゃぁぁぁ《と両親に忘れられたと主張するかのように赤子が泣く。

「悪かった。ごめん。ごめん。《

 二人して謝ると、見つめあって笑った。
 そして、ゴロンと親子三人川の字で寝ころび、きらと樹は我が子の頬に口づけを・・・



 ≪遮那×きら≫
   さくっと出てきました。
   遮那こと斎宮こと、樹さんですが・・・違和感ありあり。
   こう、攻略出来る敵キャラってED後キャラがガラッと変わる感じがして
   書いているうちに分からなくなってしまいます(笑)
   文才がないんですね。知ってます。