恋唄100題

011:例えば君と出逢わなければ、

 リビングでいくつかの週刊誌を広げて、ベルナールは夕食後のひと時を過ごしていた。
 アルカディアで一番有名であり、一番人気の女性誌のある記事が目にとまった。
「ベルナール兄さん、ブラックコーヒーをいれてきました。」
「・・・?」
 いつもならお礼の一言があるのに返事が無く、アンジェリークはよっぽど気になる記事があるのかと思い、静かにベルナールの隣に腰を下ろした。
「例えば、僕と君が親戚じゃなかったとする。」
「はい?」
 隣に座ったアンジェリークに気がつくと彼女からコーヒーを受け取り、ベルナールはカップを見ながらその言葉をいきなり口にした。
「いや、例えばだよ例えば。」
「どうしたんですか?ベルナール兄さん。」
 驚いたような疑問の声を発するアンジェリークに誤解されないよう、ベルナールは即座に補足の言葉を紡ぐ。
「親戚じゃなかったら、僕が幼い君を知らなければ、きっと一記者として取材してそれで終わっていたのかな?」
 少し悪戯っぽく言うベルナールに不思議に思いながら、アンジェリークは首をかしげた。
「そんな事考えたこともありません、それに大切なのは今でしょう?」
 ベルナールの問いに素直に答えるアンジェリーク。
「そうだね。そうだよね。」
「どうしたんですか?」
「なんでもないよ、ただふと思ってね。」
 納得のいかない表情のアンジェリークにむけてベルナールはほほ笑む。
「おかしなベルナール兄さん」
「・・・」
 アンジェリークの言葉を聞き、ベルナールは苦笑のような困った顔を彼女に向けた。
「まだ何か?」
「んーいや、ただ・・・親戚じゃなかったら、兄さんとも呼ばれる事もなかっただろう?」
「えぇ」
 ベルナールがそう言っても、彼の言いたいことが解らないアンジェリークは相槌を打つだけだった。
「いつまで僕は君の兄さんなんだい?僕の可愛いお嫁さん。」
 ベルナールはアンジェリークの髪を一房手に取ると軽く口づけた。
「なっなれるまでです。」
 アンジェリークは真っ赤になり、スタッっと立ち上がるとキッチンへ逃げようとした。
 それを止めず、ベルナールは先ほど見ていた記事に目をやる。
 その記事の内容は『今一番愛しい人と出逢わなければ?』という見出しで、年代別にアンケートをとったものだった。
 例えば君と俺が親戚じゃなかったら・・・なんて、俺が俺として、君が君として生まれた時点でないんだ。
 そう・・・例え、君と出逢わなければ、なんて選択肢はもともと俺にはない。
 でも、
「例えば君と出逢わなくても、それでも僕は君を探すよ。」

「僕の可愛いアンジェ。」

 ≪ベルナール×アンジェリーク≫
  恥ずかしい・・・なんか恥ずかしい話になってしまった。
  ってか、ベルナールでシリアスなんかかけやしない(遠い目)←
  まぁ、とりあえず・・・結婚しても
  アンジェリークはずっとベルナールの事を兄さんって呼んでると良い。