恋唄100題

088:向こう側の空の下、君が笑う

「どうかしたのですか、グレイディーア中尉」
 コリンは、小シュレス主義党の隠れ家がある小さな町で空を見上げた。
「・・・なんでもない、ミス・アラド」
「ジネットで結構です。」
「なら、俺もコリンでいい。仲間もそう呼ぶ。・・・あと、敬語もよしてくれ。」
「そうさせていただくわ。」
 シュレスベルク帝国で革命を起こそうと必死で、此処まで来た。
 これもエリカが信じてくれて、そして俺の為だけにオオルリを改造してくれたからだ。
 今は、小シュレス主義党のメンバーとの挨拶も終わり、最終準備に取り掛かろうとしている。
「気になる事があればすぐに言って欲しいんですが」
「いや、本当に何でもないんだ。」
 エリカは心配しているだろう。
 信じていると言ってくれたが・・・彼女は何でも自分の中にため込んでしまうから。
 それなのに俺は、エリカの優しさに甘えて抱いたんだ。
 戻ると帰ると約束した・・・確証なんてないのに、彼女を俺と言う存在で縛ってしまった。
 きっと一人で大丈夫と信じて、心配しているんだ。
 でも、だから、俺は早く彼女の元へと願う。
「・・・ふふっ」
「ん、なんだ?ジネット」
「いや、何を悩んでいるのかと思えば、ユクトランドに残してきた愛しい人の事でも思い出しているんだな、と・・・」
「!!」
 ジネットが連絡事項を言っている間も、空を見上げているコリンを見て彼女は怒るでもなく、貴方が最高のパイロットだと確信できたわ、と・・・ただほほ笑んだ。
「ただ、少し意外で・・・」
「意外?」
「話し方や振舞い方が女性に手慣れているものだから。」
「ひどいなぁー俺、彼女一筋ですよ。」
「本当にそうみたいね。」
 表情を読まれないように振舞うのはなれたものだったが、エリカと出逢ってからはどうもうまくいかないみたいだ。
「お見通しですか・・・」
「えぇ、お見通しと言えるような表情をしているからね。」
 エリカの事を想うと、どんな建前も崩れてしまう。
 それほどまでに、俺の世界はエリカで埋め尽くしている。
 彼女が、エリカが俺の世界で、俺の糧なんだ。
 それはきっと、彼女にとっては酷なことだろう。
 俺が彼女を束縛してしまったのだから。
「いやはや、抜け目のない。」
「ははっ、相手の表情は読む事が出来なければリーダーなんて出来ないさ。」
 と、ジネットは笑いを止められないと言うように言う。
 コリンは苦笑いをするしかなかった。
 ジネットがさらに「今の表情は誰でも分かると思うが。」と、付け足したように言われたら、「気を引き締めないと」と思いなおすしか出来ない。
「では、後は・・・コリンの補佐を任せる者を紹介する。こっちだ。」
「あぁ頼む。」
 コリンは最後にもう一度空を見上げた。
 この空の向こうに居る彼女に向けて・・・
 エリカ、君も俺を想ってこの空を見上げていてほしい。
 そして、出来れば笑顔でいる事を願う。

 ≪コリン・グレイディーア×エリカ・アレーニア≫
  コリエリなのにエリカが出てこないと言う・・・
  夢小説じゃないんだけどな(汗)
  離れ離れっぽいお題だったので、必然的にコリンが小シュレス主義党アジトに旅立つ話に
  出撃後すぐに場面転換で帰って来てましたからね・・・脳内補足で。
     両想いなはずなのに片恋ってのが、私の中でこの頃のブームです←
  ゲームではコリンさんは良い人止まりになる典型のような良い人っぷりでした?(笑)