切情100題

014:からまったまま解けずに

 何時の頃からだったのだろう。
「亮司さーん。」
 昼休み、司書室の前に向かって珠洲が廊下を走り向かってくる。
「珠洲、どうしたんだい?」
「お弁当を作ってきたので一緒に食べましょう。」
「あぁ、もちろんだよ。」
 亮司は馴れた手つきで司書室に迎える。
 あの戦いの後から毎週水曜日の昼休みは二人きりで過ごすことになっていた。
 それ以外は、戦い前と同じで皆で取っていた。
「どうかしたんですか?」
「ん?」
「何か悩んでいた感じが・・・」
「ふふ、珠洲には敵わないなぁ」
 そう言いながらも、亮司はにこやかにお茶を入れると珠洲に差し出した。
「珠洲を好きだと思ったのは何時からだったのだろう。ってね。」
 亮司は冗談のように軽く言うものだから、本気か嘘かも分からず、珠洲はただ真っ赤になるだけだった。
「わ、私は・・・小さい時からずっとですよ。」
「自覚したのは最近だけどね」
「それ、は・・・そうですけど。」
 お弁当の感想や最近図書室に入ってきた本の話など、他愛のない会話だけれど心が温まるようなひと時を過ごした。
 でも、その後も亮司の心の中は、からまったまま解けずに残っている疑問が心を埋め尽くす。
 何時から珠洲を好きだったのだろう。
 守護者には物心つく前になった。
 じゃー何時珠洲の守護者になったんだろう。
 彩子さんから初めて珠洲に合わせてもらった時?
 ・・・
 僕は、彩子さんの守護者じゃないのに彩子さんの傍に居たのか?
 無意味な守護者だったのか?
「はっ」
 寝て、た?  ついさっきまで珠洲と昼食を摂っていたはずだが、いつの間にか五時間目が終わろうとする時間だ。
 嫌な汗が額から流れる。まだ残暑がきつい九月上旬なのに嫌に体が冷えている。
 馬鹿な疑問だ。
 新の守護者ではなかっただけの話・・・。
 ちゃんと彩子さんの守護者で、後に珠洲の守護者になった。
 彩子さんに珠洲を守る様に言われて?
 違う。言われたから守った訳じゃない。
 守りたかったからだ。
 僕は彩子さんも珠洲も守りたかった。
 守りたかったんだ。
 何もかも全て。
「まだまだ、だな。」
 きっと、この疑問はずっと解けないだろう。
 それでいい。
 この疑問が解けない限り、まだ彩子さんの守護者であり珠洲の守護者だ。


 ≪天野亮司×高千穂珠洲≫
  EDのお弁当スチルの数日後って感じですか。
  真リメイクで真緒との関係をバッサリしてたので
  書くときに焦りました・・・
  書く前は真緒と珠洲について考えてたんですが、途中でゲームしちゃったんで、
  ね、白紙に戻ちゃったわけですよ。
  大変でした・・・いや、書きはじめたら早かったんですがね。